一眼レフカメラの内臓ストロボは、バウンス撮影ができないなど、本格的な写真を目指す場合には実用に向きません。初心者を抜け出すころには外付けのストロボが欲しくなります。しかし、ストロボは使い方次第では、醜い影が出たり、被写体がテカッたりと、失敗するケースが意外と多くあります。そこでおすすめするのがディフューザーなのです。 ディフューザーは1~2千円で手に入るものから、十万円以上もするプロ用のものまでピンキリです。でも、使い方を知っていれば、安いディフューザーでも充分効果を発揮します。今までと一味違う写真が撮れるのです。というわけで、今回は手ごろな価格のストロボ・ディフューザーを紹介し、その使い方などを説明します。
#1 ディフューザーの効果
ボートレート撮影の定番といえばスタジオ用ストロボやソフトボックスですが高すぎて手が出ません。でも高い機材なしでもポートレートがプロ並みに撮れるコツがあるのです。それは光をコントロールするストロボ、ディフューザーです。
ストロボはほとんどのカメラに内蔵されていますが、バウンス撮影ができないなど、問題があります。では外付けストロボ(クリップオンストロボ)が万能かといえばそうではありません。ストロボ光が被写体に強く当たるので、影が出たり、明るすぎてテカッたり、立体感のない写真となります。それをカバーするのがディフューザーなのです。特に、室内撮影ではストロボやディフューザーは欠かせません。
では、その効果を実際に見てみましょう。右上にLEDランプが一灯だけある夜の部屋で、高さ10センチほどのフィギュアを撮影したものです。レンズとの距離は40cmです。左の写真①はストロボだけでの撮影です。足元あたりには光が行き届かず、暗くなっています。顔も硬い光で少々テカリぎみです。また、背景には強い影が映っています。右の写真②はストロボに角型ディフューザーをつけたものです。ストロボは+1.0の光量補正をしています。全体に光が行き届いていて影も薄くなっています。柔らかい光で、立体感もあり、素材の質感も捉えています。数万円もするストロボを使って、2千円もしないディフューザーでこれだけの違いが出るのです。
#2 ストロボ・ディフューザーの種類
ストロボ・ディフューザーは今では実に多くの商品があります。Googleから「ストロボ・ディフューザー」で検索すると数百種類のディフューザー画像が出てきます。多すぎて何を使ったらいいのかわかりませんが、ご心配に及びません。選び方や使い方のノウハウをここでお伝えします。
これらのディフューザーを大別すると、下記の5種類になります。
A 内蔵ポップアップストロボ用ディフーザー
B 直射型ストロボ・ディフーザー
C 反射型ストロボ・ディフーザー
D 定常光ソフトボックス
E スタジオ用アンブレラ
このうち、Aは内臓ストロボ゙用で本格的な撮影には不向き。DとEはプロが使用するスタジオ用。従って、外付けストロボ用としてはBとCがおすすめです。両方とも手ごろですが、Cは後述する自作ディフューザーの項で紹介しますので、ここではBに焦点を当てて使い方や商品を紹介します。
#3 おすすめのディフューザー紹介
おすすめディフューザー3種類を紹介します。いずれも外付けストロボ用のディフューザーですが、すべて2千円以下で買えるものだけです。同じようなものでも、その数倍するものもありますが、この記事を読み終えた後なら、安価なものでも十分に効果が発揮できるものがわかると思います。
エツミ E-6191
メーカのストロボのサイズに合わせたプラスチック製ディフューザー。これは最も簡単なディフューザーです。白色のプラスチック製の四角い箱で、ストロボにかぶせて使います。但し、サイズの合ったストロボにしか使えません。(価格は千円以下)
ケンコー LG-SD001 Mサイズ
白いキャンバス布地でできた丸形のディフューザーで、ゴムがついているので、簡単にストロボにかぶせられます。ストロボ面から布を放して(前をふっくらと膨らませるように)使用したほうが光をよく拡散すます。小物の撮影なら十分に使えます。(価格は千円以下)
Micnova製 角型ディフューザー
角型で大きさは13cmx18cmありますが、折りたたんでいつでもバッグの隅に放り込んでおけます。この大きさのディフューザーならポートレートの場合、バストアップまで大丈夫でしょう。(価格は2千円以下)
では上記3種類のディフューザーを同一条件で使った画像を比べてみましょう。
上記のように結果は非常に似通った画像になりました。よく見ると、やはり角型ディフィーザーが最も光が行き届き、帽子の材質も捉えられているようにも見えますが、その違いはほとんどありません。この実験結果からすると、被写体が小さいなら、3種類の差はほとんどありませんでした。
今度は大きい被写体を撮影してみました。高さが50cmもあるキティーちゃん人形です。やはり角型のほうが全体に光が行き届き、スカーフや顔の生地の質感もいいようです。
#4 ポートレート撮影のライティングのコツ
ディフューザーは被写体の大きさと、被写体との距離によって選びます。小物商品をマクロで撮影するなら小さなもので、大きめの被写体なら大きいディフューザーが必要です。白い部分が広いほど拡散された光の届く面積が大きくなります。しかし、光をディフューズ(拡散)することは被写体への光量が少なくなることを意味しますので、場合によってはカメラのEVやストロボの光量調整で補正してやる必要があります。
光の行き届き方を写真で見てみます。画像②はストロボを直射したもの。外付けストロボは上から照射するので足元などの光量が不足しています。また、顔にテカリ感があり、背景の影も気になります。画像⑬はストロボを天井にバウンスしたものです。光量不足分はストロボの光量調整を+1.0としました。背景の影が消えて柔らかい光を捕らえていますが、細部に光が行き届かず、素材の質感が失われています。これから言えることは、やはりストロボだけでは解決しない問題があるということです。写真⑭はストロボ+ディフューザー(丸形)での撮影です。最初の写真③のディフューザ(角型)とほぼ同じ結果ですが、これは今回の被写体が小さいためで、大きな被写体なら中心から離れた部位の光の具合は異なります。
写真⑭でも後ろの影がまだ消えずに残っています。この撮影では被写体との距離は40cm程度でしたが、カメラ(ディフューザー)をもっと離して中望遠レンズで撮り、ストロボ光量補正をもっと上げれば影が薄くなるはずですが、こしかし、こまでくると、もう一灯のライトが欲しいところです。
なお、全身ポートレートならともかく、バストアップ程度のものならここで紹介したディフューザーでも充分です。それとは別に、ポートレートではアイキャッチが重要です(私もよく忘れますが)。アイキャッチとして使える光源がない場合、ストロボ+ディフューザーが使えます。但し、顔がテカらないように光量を落として使うほうがいいでしょう。
#5 自作ディフューザー
ディフューザーは500円~2000円で買えるので、お金をかけた自作はあまり意味がありません。ここでは製作費ほぼゼロに近い自作ディフューザーをご紹介します。
写真⑩は自作の反射型ディフューザーです。白い厚紙かスチロール板を切って、上に向けたストロボの背面に張り付けて光を反射させます。ストロボの天井バウンス光と反射板の拡散効果が融合して、なかなかいい光の加減となります。試してみる価値あります。
#6 まとめ
高価なストロボを買ったのに、使ってみると案外失敗も多く、初級から抜け出せない人も多いのではないでしょうか。2千円以下で買えるディフューザーをうまく使いこなして、一味違う写真を撮るのも日曜カメラマンの楽しみです。その場でいろいろと試してみることができるのが、デジタルカメラのいいところです。
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