写真にゴーストをわざと出す?消す?場合によって対策方法を紹介

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2019年1月12日

ゴーストは太陽光などの光がレンズ内で乱反射して光が玉状や筋状に画像に映り込む現象です(下記の写真①)。同じ原因でできるフレアとよく似ていますが、フレアは画面が白っぽくなる現象です(下記の写真②)。海外では両方ともにフレア(Flare)と呼び、二つを区別するために、前者をGhosting flare(ゴーストフレア)、後者をVeiling flare(ベールがかかったフレア)と言う場合もあります。この定義には異なる意見があるかもしれませんが、ここでは便宜上、前者をゴースト、後者をフレアと呼ぶことにして、両方の防止策と活用のしかたを説明します。 高品位の写真にはゴーストやフレアがあってはいけませんが、逆にそれを利用して印象的な写真を撮ることもできるのです。ゴーストやフレアの防止対策と同時にそれを意図的に作り出すテクニックをご紹介します。

#1 ゴーストが写真に写ってしまう原因

写真①ゴースト(右上角にゴーストが)

 

ゴーストやフレアが写真に写る原因は、太陽光などの強い光がレンズに入ってきて、レンズ内で乱反射して、撮像素子に記録されるためです。昔の安価な粗悪レンズではよく起りました。しかし最近のレンズは光学設計もコーティング技術も進化していて、ゴーストが出来にくくなっていますが完全ではありません。また、光の反射はレンズの枚数が多いズームレンズの方が単焦点レンズよりよく起こると言われています。

 

写真②フレア(全体が白っぽくなっている)

#2 出さないための対策方法は?

ではゴーストやフレアを防止するためにはどうすればよいでしょうか。撮影直後に小さなLCDで確認しても、白っぽいフレアには気づきますが、一部にゴーストが出ていても、気づかないことがほとんどです。後でPCの大画面で見て「あれ~!?」と叫ぶことになります。そこでゴーストやフレアの防止対策をここで説明します。
対策の基本は以下の5点です。

太陽光など強い光を逆光や半逆光にしない

強い光を逆光にしなければゴーストは防げますが、順光での写真は立体感に欠けるため、いい写真を撮るためには逆光や半逆光での撮影がどうしても欠かせません。その場合でも、太陽光などの強い光がレンズに直接あたることは避けるべきです。

写真③ レンズフードと自作の遮光板

レンズフードを装着、レンズに当たる光を遮断する

フードを装着すれば、自分で気づかない斜めからの光を妨げることができます。レンズに付属してきたフードは最適に設計されているのでそれを使用してください。また、日光などが直接に当たる場合は遮光板で光を遮ることも大切です。「ハレ板」と呼ばれていますが、小さな板で代用できるので自作のもので十分です。写真③の遮光板は黒いマウスパッドを照明用三脚に取り付けただけの簡単なものですが実用に十分に耐えます。

写真④ 普通の写真, f/2.4 ゴーストやフレアはない

F開放値を使用、絞り過ぎない

絞りを絞り過ぎると光の回析現象が起こりやすく、ゴーストの原因となります。F値はf/2.4やf/3.5など開放に近い絞りに設定します。写真④は青空をバックに木漏れ日を撮影したものです。絞りf/2.4だと太陽光が木の葉の間にあってもゴーストやフレアはほとんどありません。青空の色も青く正常です。写真⑤はほぼ同じところで撮りましたが、絞りを f/22まで絞ったたに左下に青色のゴーストが二つ出てしまいました。また太陽光のフレアのため全体が白っぽくなっています。

 

写真⑤ ゴーストとフレア、f/22、フレアとゴーストが出ている。

ズームレンズは避け、単焦点レンズを使用する

ズームレンズはレンズ枚数が多く、また光の通路が長くて複雑なため、どうしてもレンズ内の反射が起こりやすいです。できれば単焦点レンズがおすすめです。また、古いレンズは避けるべきです。

フィルターを外す

レンズの保護のため保護フィルターやUVフィルターを付けている人も多くいますが、安価で低品質のフィルターはゴーストやフレアの原因になるので外して撮影します。

#3 逆にわざと出したい時は?ゴーストが写るためのポイント

写真⑥ ゴースト 34mm, f/13

 

わざとゴーストやフレアを作って、幻想的で独創的な写真にするのも写真の楽しみです。作り方は上記の防止対策を全て逆にすればいいのですが、実際にはいろいろな条件によりゴーストが必ずできるとは限りません。まずは下記の4つを整えた上で試行錯誤することになりますが、そこはデジタルカメラならその場で確認しながら撮影ができます。

 

⦁    太陽光など強い光を逆光で受ける
⦁    古いレンズを使い、レンズフードは外す。あればフィルターもつける。
⦁    絞りを絞ってF値を大きくする
⦁    光を画面の端に入れる

 

そうして撮った例が写真⑥です。ギリシャの真冬の夕刻。太陽をポセイドン神殿の丘すれすれに重ねて撮ったものですが、線形、円形のゴーストが出ています。構図の良し悪しは別としても、ゴーストを狙って撮った例としてはまずまずと言えるでしょう。

しかし、この例でわかるように、太陽と建築物の位置関係は自分では変えることができません。従って、もっといい構図を狙うためには、何時間も、場合によっては何日も粘る気力と体力(と経済力)が必要となるでしょう。それは実際には難しいことですが、いつもカメラを持ち歩いていると、いいチャンスに巡り合える可能性が高いのも事実です。

 

写真⑦ フレア 60mm, f/11      

 

別のゴーストとフレアの例をもう2例挙げます。写真⑦はワインレッド色のエーゲ海に沈む太陽を背にしたシルエット姿の女性です。この写真でフレアがなかったら幻想的な雰囲気は表せなかったでしょう。写真⑧は昼下がりの太陽を左上に配置してタイの仏教寺院をシルエットで撮った写真です。太陽が明るく、F値をf/22まで絞ったため、太陽の周りに少しゴーストが入っています。最近のレンズとフィルターを使用したためか、期待したほど強いゴーストにはなりませんでした。

 

 写真⑧ ゴースト 27mm, f/22         

#4 まとめ

ゴーストやフレアはレンズやその時の光の状態など、微妙なところで出たり出なかったりするものです。しかし経験を重ねると徐々に勘所がつかめ、うまく撮れるようになると表現の幅がぐんと広がること間違いありません。しかし、あまりゴーストに気を取られていると、つまらない構図となって面白味に欠ける写真になる可能性もありますので大いに気を付けたいところです。これは自分自身への反省を込めたものです。

さて、諸悪の根源と思っていたゴーストとフレアが少し身近に感じてきましたか。捨てようと思っていたオールドレンズを使ってみましょう。晴れた日にオールドレンズをつけたカメラを担いで出かけると、ゴーストやフレアの素材は意外と身近なところにあります。
 

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