初めてに玉ボケ写真に挑戦しましょう!綺麗な撮り方が意外と簡単!

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2018年11月30日

色とりどりの玉ボケを背景にした夜のポートレートほど美しいものはないでしょう。自分の撮影ではありませんが、写真①のようなプロの写真は相当なテクニックと同時に場所や時間や人物に恵まれなければ撮れません。 ところが、実は玉ボケそのものは、意外と簡単に撮影できるのです。そこで、まずは玉ボケの作り方を学び、その後に玉ボケ入りポートレートの初歩に挑戦してみましょう。

#1 玉ボケがでる環境~キラキラした光源

写真② 56mm, f/2.8、ピント位置は100m

写真③ 70mm, f/2.8、ピント位置は0.5m

玉ボケの正体は光るものです。その光源のピントを外すと丸くボケます。夜間ならば信号、街灯、イルミネーション、車のランプなどの光源が多くあります。例えば写真②は夜の街角ですが、信号や街灯やビルの明かりが雑然としていて景色としては美しくはありません。それを同じ場所、同じ時間で中望遠レンズを使ってピントを大きく外すと写真③のように美しい玉ボケができます。写真としてあまり価値のない景色が、突如として魔法のように美しい玉ボケ模様に変身します。これが玉ボケ写真の面白いところです。ところで、夜の銀座など、あまりネオンや光が多すぎると美しい玉ボケにはなりません。

一方、昼間のキラキラはほとんどの場合太陽の光が何かに反射している光です。晴れた日を選び、太陽光が水面などに反射しているものなど、キラキラしているものを探しましょう。そのためには逆光になる位置にいることが重要です。晴れた日の朝夕の水面が最もキラキラが見えます。これを逃すてはありませんが、太陽は地球の時点で角度や位置が変わったり、雲に隠れたりするために、キラキラが短時間で消えてしまったりします。そのため写真撮影は手早くする必要があります。

写真④ 24mm, f/10, ss=1/640, ISO 100 朝日にキラキラ輝く東京湾。

写真④は早朝の東京湾ですが、海面に朝日が反射してキラキラと輝いています。これをマニュアルフォーカスでピントを外すと写真⑤のように綺麗な玉ボケが撮影できます。レンズの焦点距離も、絞りも全く変えず、マニュアルでピントを手前に大きくずらしているだけです。

写真⑤ 24mm, f/10, ss=1/640, ISO 100 ピントをずらして玉ボケを作る。 ピント位置は約1m

この写真の場合、カメラから1mのところにピントの距離がありますので、遠方の景色にはピントが合っていません。また、太陽光線が非常に明るいためf/10まで絞りましたが、ピントや絞り(f値)をいろいろと変えて、ボケの具合を目で確かめながら撮影すればいいのです。

では、ピントの位置と玉ボケの出来具合を見てみましょう。写真⑥~⑧はいずれもズームレンズの望遠側の70mmをf/2.8に設定してピントを少しずつずらしたものです。ピントをずらし過ぎると写真⑧のように光全体がフレアのようになり、遠景も全くなにが映っているかもわからなくなり、写真の美しさが失われます。

#2 レンズの選択とカメラの設定

では、玉ボケを作るためにはどんなレンズが必要でしょうか。ズバリ言えば標準ズームか中望遠のズームレンズでf値が小さいものが最適です。焦点距離が長いほど、またf値が小さいほどボケが得られやすいためです。といっても、わざわざ高価な大口径レンズを買う必要はありません。ほとんどの人が持っているような標準望遠ズーム(35mm換算で)24~70mmや28~150mm程度の望遠域で可能です。f/2.8なら作画の自由が大きいですが、f/3.5~f/5.6でも条件によっては丸ボケは十分に可能です。

一方、カメラ側の設定は絞り優先モード(NikonならAモード、CanonではAvモード)とし、f値を最小(開放絞り)にします。フォーカスはマニュアルにします。要するに玉ボケはピントを外すことでできるので、オートフォーカスではできません。また、夜間では手振れが起きやすいのでISO感度を大きく上げるか、三脚を使用します。ポートレートなどでは手前にある主題に十分な光がない場合はストロボやLEDなどの補助光を使用することも必要でしょう。

#3 撮影とピントの合わせ方

写真⑨ ストロボなし56mm, f/9, ss=1/2500, ISO 100

さて玉ボケは案外簡単にとれることが分かりましたね。ではいよいよポートレートの初歩に挑戦してみましょう。今回も経済的理由でモデルの代わりに、フィギュアに登場してもらいました。ポートレートの場合、手前に人物を入れてピントを合わせ、背景に美しい玉ボケをいい具合に作るのはかなり難しいです。場所、時間、人物などの選び方などに経験やテクニックが必要です。写真⑨は朝9時頃の東京台場です。太陽光のキラキラは非常に明るいので、強度の逆光で主題が真っ黒になってしまいます。そのため、外付けストロボを使いましたが、GN(ガイドナンバー)が大きいものでければ強い太陽光の逆光に負けてしまいます。それをさらに光量を+3.0に上げて撮影したのが次の写真⑩です。シャッタースピート(ss)が1/1000秒のハイスピートシンクロとなっています。主題とカメラの距離は約0.4mです。

写真⑩ ストロボあり70mm, f/14, ss=1/1000, ISO 100

ピントや絞りの調整で玉ボケの程度が大きく変わりますので、実際の撮影では玉ボケの程度をLCD画面で確かめながら主題とカメラとの距離を変えたり、f値を調整することになります。
太陽光線が強すぎるので昼間なのに夜間のようにも見えて少々奇異に感じます。好みの問題ですが、構図的には写真⑪のように遠景をカットして人物と玉ボケだけをとらえたほうがスッキリします。

写真⑪  ストロボあり, 56mm,f/11, ss=1/2500, ISO100、ピント位置約0.5m

では、次に夜のポートレートに挑戦します。最初の写真①の場所でフィギュアを使って玉ボケ入りポートレートを撮ります。フィギュアを橋の欄干に立ってもらい、1mほど離れてカメラを三脚にセットします。ピントを適当に外して玉ボケ具合を調整して、照明を当ててフィギュアにピントをしっかり合わせてシャッターを押します。その写真が写真⑫です。絞りは開放のf/2.8です。

写真⑫ 70mm, f/2.8, ss=1/30, ISO 400

玉ボケの具合、大きさは絞りで微調整します。絞りを少し開けてf/5にしたのが写真⑬では玉が小さくなっているのが分かります。この場合、主題が近いためストロボでは光量が強すぎてテカリが起こります。従ってLEDを使いました。定常光のLEDなら光量を確かめながら調整できるので便利です。なお、ISO400でss=1/8~1/30秒と長くなったため三脚を使いました。

写真⑬ 70mm, f/5, ss=1/8, ISO 400

なお、今回は10cmほどの小さなフィギュアでしたが、人間の場合はカメラを2~3m離しての撮影となるため100~200mm程度の中望遠レンズが必要となるでしょう。f値が5とか6.3となると丸ボケの大きさがもっと小さくなるため、美しさが失われます。f値の小さいレンズが(高価ですが)欲しくなるところです。

#4 まとめ

玉ボケは簡単に作れることが分かりましたが、玉ボケ入りポートレート撮影は普通のポートレートやスナップ撮影とは大きく違います。事前にロケハンを行い、美しい玉ボケが確実にできる場所、時間、アングルをキチンとおさえておき、その上でモデルに来てもらうことが必要です。さもなければ玉ボケ作りのために動き回ったり、試行錯誤に長い時間を取られてしまいます。
玉ボケ入りポートレートにチャレンジするには時間と根拠が必要ですが、まずは遊び心をもって美しい玉ボケを写すことから初めてみましょう!

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