三分割法で写真の構図をバッチリ決定!イラストで撮影方法を解決

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2018年11月9日

カメラの技術はここ数十年の間に画期的に進歩したとは言え、人間の頭脳には追いついていません。人間はある光景を見たときに、明るさを調整し、見たいものに焦点を当てて、背景をボカシした画像を頭脳が認識します。そのため、目で見たときは生き生きとした被写体が、画像を見たときに期待外れだったことがよく起こります。カメラの構図の研究は、頭脳が認識した構図とカメラが捉えた二次元画像とのギャップを埋めて見せたいものを表現するための手助けをしてくれます。ぜひマスターして上記の写真のような写真を撮ってみたいですね。 しかし、ここでは、あまり理屈に走らずに、写真構図の基本と言える三分割法を主に紹介し、それと対比したその他の構図も簡単に紹介します。この記事を読み終えた後は、ファインダーをから見える景色が変わってくるはずです。

#1 三分割法の基本:三分ってどういう意味?

図1 三分割法

三分割法とは

三分割法は画面を縦横ともに三分割し、その交点に見せたいものを配置する構図テクニックです。図1は通常の一眼レフの画面(アスペクト比3:2)を縦横に三等分したものです。各枠線の交点(赤丸)に重要なもの、見せたいものを配置するテクニックで、いわば基本とも言える構図です。

 

 

写真② 富士山の雄姿(日の丸構図)

写真③ 三分割構図の富士山

三分割構図の例

さて、写真②は富士山の雄姿を真ん中に配した構図です。これはこれで堂々とした富士山を捉えていますが、三分割法を使用した写真③と比較してみください。見せたい被写体がより引き立ち、収まりがよいのはどちらか一目瞭然ですね。

写真②のように真ん中にメインの被写体を配置するのを「日の丸構図」と呼んでいます。見せたい被写体の存在感があって商品撮影などには向いています。しかし風景やスナップの構図では面白味がない場合が多いと思います。


写真④ 三分割法とは異なる構図

写真⑤ 三分割法の構図

別の例をみてみましょう。写真④は空と雲を捉えた写真ですが、三分割法とは無縁の構図です。広い空と中央の白い雲、広い草原を表現したかったのでしょうが、構図がいかにもアンバランスです。一方、写真⑤は三分割法を取り入れて草原の広大さ、空の広さ、雲の広がりを実にうまく捉えています。

#2 黄金比に比較:三分割法に近いが、効果が違います!

図2 黄金分割    

黄金比とは

何かを分割するときに最も美しいと言われている比率が黄金比です。その比率は約1.618:1です(8:5に近い)。これを一眼レフの画面(アスペクト比3:2)に適用すると図2のようになります。縦横ともに1.618 : 1となるところで分割しています。 黄金分割法を三分割法と比較したのが図3です。これからわかるように黄金分割線は三分割線より少し中心寄りになっています。(一眼レフの場合)

図3 黄金分割(黒)と三分割(赤)の比較

黄金比の例

写真⑥ 黄金比を使った写真

黄金分割はギリシャ時代に発見され、古くはパルテノン神殿などの建築物、現代では色々な企業のロゴなどデザインに多く応用されています。図4は横1.618、縦1.0の長方形ですが、長辺を1.0(正方形)のところで分割し、残った長方形を再び正方形のところで分割し続けると、図のように右回りの美しいフィボナッチ螺旋をえがきます。この分割法を使った例が写真⑥です。これは螺旋階段を上から撮った写真ですが、設計段階から黄金分割を意識したものでしょう。

図4 黄金比の螺旋模様

別の例をみてみましょう。葛飾北斎の版画は欧州でも有名ですが、ここにも黄金比のフィボナッチ螺旋によるデザインを見ることができます。北斎はおそらく黄金分割やフィボナッチ螺旋ということを知らないまま、美を求めていって行きついた構図がこれだったと思われます。写真ではありませんが、参考になります。

図5 北斎の版画、富嶽三十六景から

図6 黄金分割の求め方

ところで黄金分割の求め方で、よくお目にかかるのは図6の図です。四つの角から対角線に垂直におろした線との交点です。ところが、この方法ではアスペクト比によって交点が移動します。アスペクト比が小さくなるほど黒い点は中心に移動し、真四角(アスペクト比1:1)では図7のように、ちょうど真ん中の1点になります(赤は三分割線)。これでは二分割にしかなりません。

図7 真四角の場合

第一、図6のような対角線の交点はカメラのファインダーを覗いて特定するのが難しい上に、画面のアスペクト比によって交点が移動するため、おすすめではありません。やはり三分割を基本にして、(一眼レフの場合)黄金分割線はそれより少し中心寄りにあると認識して構図を決めるほうが簡単でしょう。

#3 ⦁ 人物撮影に採用したらこういうメリットがある!

写真⑦ 三分割構図のポートレート

ポートレートでは人物が中央に入なければならないような証明書写真は別として、人物が真ん中にいる構図は面白味にかける場合が多くあります。そこで三分割法が適用できます。写真⑦はポートレートで人物を真ん中に置いた例です(日の丸構図)。これはこれで人物を強調していて立派な写真ですが、写真⑦のように三分割法で撮ったほうが魅力は増します。(個人的な趣味もあるかもしれませんが・・)

写真⑧ 日の丸構図のポートレート    

ポートレートといえば縦長が普通ですが、その場合も三分割構図はしっくりきます。写真⑨はある自動車ショーでの撮影ですが三分割構図になっていて、収まりがいいと思います(青い線は三分割線)。

写真⑨ 縦長ポートレート    

好んで使われているポートレートの目線の位置

ところで、ポートレートで三分割構図が実際にどの程度使われているか見てみましょう。プロが撮ったポートレート写真20枚とルーブル美術館の肖像画20枚の計40画像(全てバストアップの縦長画像)を独自に測定しました。画像の高さを1.0とした場合、目の位置が下端からどのくらい離れているか測定した結果が図8です。

図8 ポートレートの目の位置

ほとんどすべてが三分割の0.667(=2/3)より上で、平均0.709の位置にありました。黄金分割の0.618 (=1/1.618)に近いものはほとんどありませんでした。この場合、目が見せたいものと仮定しましたが、中世の画家も現代のプロのフォトグラファーも黄金分割でなく、三分割に近い構図を(無意識のうちに?)好んでいるようです。

#4 まとめ

ファインダーをのぞいた時ときに無意識のうちに中心に被写体を収める癖を改めることから始めましょう。自分が狙った構図とシャッターを切ったすぐ後にLCDの画像を比較して、自分の狙いとのギャップを確認することも良い訓練になります。
三分割は構図の一つで、決して絶対的なものではありません。構図の基本として学び、それから自分のスタイルを作ることが大切と思います。

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