Photoshop編集で写真技術を磨く | 写真加工のテクニック

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2018年10月23日

画像の加工・編集を邪道と考える人がいますが、それは間違いです。加工・編集を前提に適当にシャッターを押していたら確かに邪道で、写真技術はダメになります。しかし、加工・編集作業をしていると、加工がなぜ必要なのか、何が悪かったのかよく分かり写真技術の向上に、確実につながります。 今回は編集ソフトPhotoshop Elementsを使ったほんの基本的な編集技術を紹介しますが、他の編集ソフトでも類似の機能があります。さあ、編集を楽しみながら写真技術を磨きましょう! なお、編集の具体的なやりかたはマニュアルにゆずるとして、ここでは何ができるか、使用するツール(メニュー)は何かを紹介するだけにとどめます。そうしないと本一冊になりますので。

#1 クロップ(トリミング)

加工・編集作業で最も多く使うのはクロップですので、まずこれをマスターしましょう。なお、トリミングともいいますが、正しくはクロップと呼びます。

構図とクロップ

写真②は望遠レンズの持ち合わせがなく、標準ズーム(70mm)で撮影しましたが、一番見せたかったレインボーブリッジが周囲の景色に埋もれて目立たなくなりました。アスペクト比を同じにして、レインボーブリッジを三分割点に配置してクロップをしてみます。クロップした結果が写真③です。望遠レンズがあれば、このように撮りたかったという構図です。

写真② クロップ前            

写真③ クロップ後

写真④はクロップ編集中の画面です。切り出す画像は中央に表示され、切り捨てられるところはシャドーが掛かっています。三分割線が切り出す画面に現れ、構図の手助けをしてくれます。また、アスペクト比を「原画の比率」、「自由な比率」など自由に選択できます。クロップはメニューの「切り抜きツール」アイコンまたは、メニューから<イメージ><切り抜き>を選びます。

写真④ クロップ編集画面

このようにクロップは構図を大きく変えます。だからと言って適当に撮って後で構図を考えればいいと考えるのは「邪道」ですので、絶対にやってはいけません。

視野率とクロップ(トリミング)

大幅なクロップをする必要がないとしても、頻繫にその必要がでてくるのが、画面の端をトリミングです。カメラによってファインダーの視野率が95~97%のものもあります。その場合ファインダーで見える範囲より広い範囲が実際の画像には写るため、不要なものや映したくないものが画面の端に写っていたりします。それを切り取る必要があります。
その場合の編集方法は上記の大幅クロップの場合と全く同じ「切り抜きツール」を使用します。端を少しトリミングするだけですので、構図に大きく影響しません。ここでは例を割愛します。
 

#2 不要物消去と背景処理

不要物消去

特に野外での撮影では偶然に不必要なものが写り込んだり、アングルをどのように変えても見せたくないものが一緒に写ったりすることは避けられません。写真⑤はインドにある世界最大のヒンドゥー教寺院です。はるか後方(両肩)に建設中の大きなマンションがあり、アングルをどう変えても写ってしまう状況でした。この邪魔者を消したのが、写真⑥です。

写真⑤ 編集前(後方に建設中の建物あり)    

写真⑥ 背景処理後(後方の建物が消去)

これで寺院の輪郭もはっきり、スッキリしました。

この編集はメニューの<コピー・スタンプ>ツールを使い、すぐ近くの部分(ここでは青空)をコピーして貼り付ける作業となります。このコピー・スタンプツールを使えばホクロ消しやシミ抜きなどもできます。慣れないと、その部分が斑模様となりますが、習熟すれは画像を拡大してもシロウトには編集の痕跡がわかりません。ぜひマスターしたい技術ですね。

#3 明るさと逆光補正

明るさ補正

撮影直後にLCDで確認したのに、後でPCの大画面で見たら明るさが不足していたことがあります。これはカメラのLCDとPCのモニターの大きさや性能の違いも原因のひとつです。いずれにしても、明るさ調整が必要なことはよくあるのでここで紹介します。

写真⑨は露出不足の画像で、その状態をヒストグラムで見たのが図1です。グラフの左側が暗いピクセル、右側が明るいピクセルを示し、各ピクセルの多さがグラフの山であらわされています。この例ではヒストグラムが左側に大きく偏っていて、右側、つまり明るいピクセルがほとんど存在していません。つまり、露出不足の暗い画像であることがわかります。

これをメニューの<画質調整><ライティング><明るさ・コントラスト>で調整した画像が写真⑩で、そのヒストグラムが図2です。ヒストグラムがグラフ全域に行きわたっているのが分かります。

なお、ヒストグラムはPhotoshopの<画質調整><ライティング><レベル調整>で確認できますが、ほとんどのカメラのLCDでも確認できます。撮った後、画像とヒストグラムをチェックする習慣をつけましょう。そうすれば後での編集の必要性は大幅に減ります。

逆光補正の技術

シャッターを切るときは気づかなかったが、後で見たたら逆光で被写体が暗くなっていたなどよくあります。人間の脳は逆光を自動的に補正しますが、カメラは自動ではやってくれません。撮った後、すぐにLCDで確認して露出を+補正することもできますが、それでは全体が明るくなり、白飛びが発生します。白飛びを抑えて、被写体だけの明るさ補正がソフトの編集でできます。

写真⑪は背景が明るいため手前にある手前の部分が暗くなり、黒つぶれに近くなっています。典型的な逆光です。それを露出+3.0の補正したのが写真⑫ですが、パラソルやテーブルは明るくなりましたが、背景も明るくなりすぎて白飛びしています。これを<画質調整><ライティング><シャドー・ハイライト>で補正したのが写真⑬です。シャドー(手前)だけ明るくし、ハイライト(背景)部分は変更せず、逆光が補正されています。

写真⑪ 逆光で手前が暗い        

写真⑫ 明るさ補正で背景が白飛び

写真⑬ シャドーだけを明るく補正(背景も黒つぶれも白飛びもなし)

#4 広角レンズの歪み補正

建物の歪み補正

最後に紹介するのが広角レンズの歪み補正です。大きな建物などを近くから広角レンズで撮るとどうしても歪みが出ます。十分離れて焦点距離50mm以上のレンズで撮れば歪みは起こりませんが、他の建物などがあって距離が取れないため、広角レンズを使って撮ることになります。プロの建築写真家は高価なあおりレンズを使用して撮りますが、あおりレンズは数十万円もするため、アマチュアには手が届きませんn。しかし、ここでも編集ソフトはそれを救ってくれるのです。

写真⑭はインドの仏教寺院です。かなり大きいお寺ですが、境内が狭く、20メートルほどしか距離が取れませんでした。その結果、焦点距離27mm相当のレンズで撮った結果、予想通り大きな歪みが出て、建物が傾いているのがわかります。それを<フィルター><レンズ補正><変形>を使って修正したのが写真⑮です。

写真⑭ 広角レンズでの画像の歪み    

写真⑮ 画像歪みを修正

#5 まとめ

こう撮ったら編集は必要なかったのに、などと熟慮しながら編集作業をやると写真技術は確実に向上します。ところが、どうせ加工できるからと適当にシャッターを切っていたら、写真はいつまでも上手になりません。この双方の意識の持ち方しだいで写真の上達には天と地の差が生じます。編集を楽しみながら写真技術の向上を図りたいものです。

撮影技術を身につけるには、やはり実践が一番!

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