単焦点レンズ35mmか50mmかどっちを選ぶべきのかを解説

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2018年11月22日

カメラ付属のキットレンズに慣れてくると、多くのカメラマンはセカンドレンズとして単焦点レンズの購入を考え始めます。比較的安価で手に入る入門用の単焦点レンズとしておすすめなのは35mmや50mmのもの。どちらも価格の割に描写が美しく、一度手に入れると長く使っていくものです。しかしどちらのレンズを購入するか、初心者カメラマンが迷いがちなところでもあります。そこで今回は、35mmと50mm二つの入門用単焦点レンズに焦点を絞り、どちらのレンズを選ぶべきか、メリットやデメリットを比較しながらご紹介します。

#1 単焦点レンズの35mmのメリット・デメリット

まずは単焦点レンズの代表格のひとつ、35mmレンズのメリットやデメリットからご紹介します。

メリットその1.扱いやすい画角

35mm単焦点レンズの画角は、スマートフォンのカメラと近い画角で扱いやすいと言われています。そのため、カメラ初心者やスマートフォンで写真を撮ることに慣れた人は違和感なく使えることでしょう。単焦点レンズの中でも広角寄りのため、風景や建物など、大きな被写体を1枚の写真に収めたいときに重宝します。ポートレートというよりは、気軽なスナップに向いているレンズです。

メリットその2.最短撮影距離の短さ

35mmレンズは単焦点レンズの中では最短撮影距離が短いです。つまり、被写体にぐっと近寄った写真が撮れるということ。写真を撮るときは主題を決めることがセオリーですが、主題となる被写体にクローズアップすることで、被写体の魅力やディティールをダイナミックに表現しやすくなります。また、35mmは広範囲を写すことができるので、メインの被写体と共に背景もしっかり画面に収めたい場合に重宝するレンズです。

スナップ写真を撮るのに最適で便利な35mmですが、以下のようなデメリットもあります。

デメリットその1.「ありきたり感」

使いやすい画角で重宝する35mmレンズですが、デメリットもあります。そのひとつが、ありきたりな写真になってしまうことです。スマートフォンのカメラで撮るかのような気軽さや扱いやすさはありますが、面白みや意外性のある写真にはなりにくいことがデメリットです。35mmで撮った写真は、どこかで見たことのあるような、新鮮味に欠けた印象になりがちです。

デメリットその2.値段が高い

35mmレンズは50mmレンズと比べて、定価が高いこともデメリットです。メーカーによって値段は異なりますが、だいたい3万円から4万円の価格帯が中心になります。初心者のうちはレンズに多額の投資をするのは勇気がいることですし、導入コストを考えると二の足を踏んでしまうことも確かです。

このように、35mmレンズにはメリット・デメリットの両方があることをご紹介しました。

#2 単焦点レンズの50mmのメリット・デメリット

次は50mmレンズのメリットとデメリットについてご紹介します。

メリットその1.価格が安い

50mmレンズの最大のメリットは価格の安さです。メーカーにもよりますが、だいたいどのレンズも1万円台からのお手頃価格で入手できることが特徴のひとつ。メーカー側も最初に購入してもらう単焦点レンズとして売り出していることもあり、一部では“撒き餌レンズ”とも呼ばれています。単焦点レンズを使ったことのないユーザーでも手を出しやすく、50mmレンズを使ったことがきっかけで単焦点の魅力にハマるカメラマンも少なくありません。

メリットその2.ポートレートに最適

単焦点レンズの中でも、50mmは「長め」、つまり写る範囲が狭い望遠寄りの画角です。背景を活かしたスナップ写真よりも、背景を省いて被写体を堂々と主役に置くポートレート写真に向いています。ズームレンズの50mmの画角で撮った写真と比べると描写力も抜群に良いですし、人物の細かなディティールまで繊細に表現するような、本格的なポートレートに挑戦したいときにはおすすめのレンズです。

メリットその3.背景がボケる

50mm単焦点は背景がきれいにボケることも特徴です。入手しやすい価格帯の単焦点レンズの中でも50mmはF値が低いので、絞り開放で撮ると背景がボケやすく、アーティスティックな写真を撮ることができます。特に今まで標準ズームしか使ってこなかったカメラマンからすると、そのボケ具合には驚かされると思います。

単焦点レンズへの入門用としてお手軽でおすすめの50mmですが、以下のようなデメリットもあります。

デメリットその1.写る範囲が狭い

50mmのデメリットは、写真に写せる範囲が狭いということが挙げられます。ポートレートや風景を切り取る写真には最適な50mmですが、建物の全体像を収めたり、目の前の風景全体を写したりするには画角が狭すぎてあまり向いていません。目で見た風景そのままというよりも、どこか1点を注視したような画角になるのが特徴です。したがって、場合によっては画角が狭いと感じることもあります。

デメリットその2.最短撮影距離が長い

最短撮影距離が長いことも50mmレンズのデメリットです。広角レンズと比べて、50mmはあまり被写体に近づくことができません。そのため、狭い屋内での撮影や撮影スペースに余裕がないシーンでは扱いづらいと感じることもあるでしょう。撮影のための環境が整った場面では扱いやすいレンズですが、サッと取り出して素早く撮るという動作には不向きです。

このように、ポートレート撮影に向いている50mmレンズですが、機動性や手軽さに欠けることがあるのが特徴です。それらのメリットやデメリットを踏まえながら、次の項では35mmと50mmの比較をしてみたいと思います。

#3 35mmと50mmの比較

35mmと50mmどっちのレンズを選ぶか悩ましいことだと思いますが、自分の撮影スタイルに合わせて選ぶことがレンズ選びのセオリーです。

風景撮影での35mmと50mm

風景撮影をメインで行うカメラマンにおすすめしたいのは、35mmレンズです。50mmレンズと比べて35mmレンズは広範囲を写すことができるので、雄大な風景を1枚の写真に収めたい風景撮影に向いています。50mmで風景撮影を行うことも不可能ではありませんが、思ったより写る範囲が狭いと感じてしまうかもしれません。風景写真の中でも紅葉をクローズアップして撮ったり、人物をメインに構図を作ったりしたい場面では50mmを選ぶと良いでしょう。

ポートレート撮影での35mmと50mm

ポートレート写真といえば50mmをおすすめしたいところですが、これも自分の撮影スタイルによってどっちのレンズを選ぶか決めてください。


・人物メインなら50mm

人物の表情や仕草をメインにした写真や、バストアップで人物を撮影するスタイルを考えている方には50mmをおすすめします。

・人物プラスアルファなら35mm

風景と人物、建物と人物など、人物プラスアルファでの撮影スタイルをメインに考えているという方は35mmを選んでください。

旅行に持っていくならどっちのレンズ?

旅行に持っていくための単焦点レンズとして、35mmと50mmはそれぞれにメリットとデメリットがあります。まず35mmのメリットとしては、その万能ぶりが挙げられます。50mmと比べて広範囲を写すことができますし、旅行風景や、人物と建物を一緒に収めた記念写真を撮影するためのレンズとしてはもってこいです。しかし35mmのデメリットを挙げるとするならば、無難な写真になりがちだということ。旅先で出会った感動的なシーンや、印象的な物事をアーティスティックに切り取る作品作りにはあまり向きません。

50mmレンズを旅行に持っていくメリットとしては、作品撮りに向いている画角だということが挙げられます。旅行先で出会った印象的なものや人物をアーティスティックに撮ったり、作品作りを目的とした旅行を計画したりするなら50mmがおすすめです。逆に旅行の記念としてスナップを残しておきたい場合や、記録写真を撮りたい場合には50mmはあまりおすすめできません。

旅行スナップを撮りたい場合は35mmを、作品作りが目的の旅は50mmを選ぶと良いことを覚えておいてください。

#4 まとめ

35mmレンズと50mmレンズには、それぞれメリットやデメリットがあることをご紹介しました。それぞれに得意分野や苦手分野がある単焦点ですが、一番大切なことは、それぞれのレンズの特徴を熟知して適切に使い分けることです。自分の撮影スタイルや、撮りたい作品のスタイルなどを今一度熟考して、自分に相応しいレンズ選びをしてください。

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