一眼レフカメラを手に入れたら、挑戦したいと思うことのひとつがマニュアルフォーカスでの撮影です。普段はカメラのオートフォーカス機能に頼りきりの初心者カメラマンも、マニュアルフォーカスをマスターしてステップアップしてみましょう。マニュアルフォーカスとは手動でピントを合わせて撮影する技術のことで、使いこなすためには練習が必要です。そこで今回は、マニュアルフォーカスに挑戦する前に覚えておきたいコツと練習方法についてご紹介します。
#1 そもそもマニュアルフォーカスのメリットって何?
マニュアルフォーカスで撮影を行うメリットには、次のようなものが挙げられます。
カメラが苦手とする被写体をピント合わせする
カメラが苦手とする被写体にも、ピントが合った写真を撮影できることが利点です。カメラのオートフォーカス機能は万能ではありません。カメラがピントを合わせづらい被写体もあります。
例えば極端に小さな被写体や、コントラストの弱い被写体はピントが合いづらい傾向にあります。カメラがどこにピントを合わせるか迷い、ピントリングが行ったり来たりし始めたときがマニュアルフォーカスの使いどころです。
夜間撮影するとき役に立つ
夜間の風景撮影や、星空を撮影したいときはマニュアルフォーカスで行います。
カメラは被写体に反射した光で計測し、ピント合わせをしています。しかし被写体からの反射光を感知できない暗所ではピントが合いません。そうしたときもマニュアルフォーカスでピント合わせを行えば、思い通りの場所にピントを合わせた写真を撮ることが可能です。
ピントが合わなくても撮れる
オートフォーカスではどこかにピントが合った状態でないとシャッターが切れませんが、マニュアルフォーカスではピントが合わない状態でもシャッターが切れます。
ピントが合わない写真には一長一短ありますが、あえてピンボケを生かす表現の写真を撮りたいときは非常に有効です。ピントが合う、合わないということに縛られず、好きなタイミングでシャッターを切るにはマニュアルフォーカスを使います。
繊細なピント合わせが可能
マニュアルフォーカスは、オートフォーカスよりも繊細なピント合わせが可能です。オートでは機械が自動的に計測してピントを合わせますが、人の手の繊細さには敵いません。被写界深度が浅い設定での撮影や、ピントの山をがっちり掴んだ鮮明な画にしたいときはマニュアルフォーカスが最適です。
慣れると素早くピント合わせが可能に
マニュアルフォーカスに慣れると、オートフォーカスより素早くピント合わせができるようになります。もちろんそのためには繰り返しの練習が必要なのは言うまでもありませんが、技術を身に付ければカメラマンとして大きく成長できますし、写真を撮る楽しみも広がります。
ファインダーを覗きながら右手でシャッターを操作し、左手でピントリングを回す。そうしたシンプルな動きを体で覚え、素早く行えるようになればフォーカスポイントを切り替える動作を省けます。結果的にシャッターチャンスを逃す頻度が少なくなるということもメリットです。
#2 マニュアルフォーカスで使える機材は?
ここからはマニュアルフォーカスに必要な機材をご紹介します。
カメラ
マニュアルフォーカスに必要なカメラは次の3つです。
・一眼レフカメラ
・ミラーレスカメラ
・マニュアルフォーカス機能付きコンパクトデジタルカメラ
基本的にマニュアルフォーカスを使うには、一眼レフカメラかミラーレスカメラが必要です。一部のコンパクトデジタルカメラにもマニュアルフォーカス機能は付いていますが、予めスペック表やメーカー公式サイトで手持ちの機種がマニュアルフォーカスに対応しているか確認しおいてください。
レンズ
マニュアルフォーカスを行うには、ピントリングの付いたレンズが必要です。基本的には一眼レフカメラ用の交換レンズ、ミラーレス専用交換レンズには全てピントリングが付属していると考えてもらって構いません。
小見出し2-3ピントリングとは?
単焦点レンズにはピントリングのみ付いていますが、ズームレンズにはズームリングとピントリングの二つが並んでいます。レンズを回すと焦点が変わり、ファインダーや液晶画面に映る像がハッキリしたりぼやけたりする方がピントリングです。
マニュアルフォーカスに必要な機材はカメラとレンズ、この二つのみです。それでは早速マニュアルフォーカスを練習してみましょう。
#3 コツと練習方法
ここからはマニュアルフォーカスの練習方法とコツについてご紹介します。
マニュアルフォーカスを使うための準備
まずはカメラをマニュアルフォーカスに設定します。カメラ全面のダイヤルを「AF」から「MF」へと切り替えたら準備完了です。ファインダーを覗きながらピントリングを回してみてください。
「ピントの山」を掴む
まずはピントの山を掴む練習から始めてみましょう。ファインダーを覗きながらピントリングを大きく左右に回します。途中でファインダーに写る像が鮮明になる場所があるはずです。それをカメラマンは「ピントの山」と呼びます。まずは大まかにピントの山を掴む練習をしてください。
「ピントの山」を行ったり来たりして頂上を目指す
ピントの山を掴むことができたら、次は「頂上」を目指しましょう。
焦点が大まかに合う場所をピントの山と呼びますが、書いて字のごとく山のようになっています。つまり、ぼんやり焦点が合う「麓」の部分からハッキリ焦点が合う「頂上」まで、なだらかにつながっているようなイメージです。
ピントリングを左右に回しながらピントの山を行ったり来たりし、頂上の最も焦点が合う場所にゆっくり近づきピントを合わせてください。
ここまでピントを合わせるための練習方法についてご紹介しました。次はこの練習を行うためのコツをご紹介します。
動かない被写体から挑戦
まずは動かない被写体でマニュアルフォーカスの練習を始めることをオススメします。
動きのある被写体から練習を始めると、被写体が動くたびに焦点距離が変わり、その都度ピント合わせしなくてはいけません。一方動きのない被写体は焦点距離も変わらないため、一回ずつ落ち着いてピント合わせができます。
マニュアルフォーカスの操作に慣れるまで、雑貨や植物、風景など動かない被写体で練習しましょう。操作に慣れるにしたがって、動きのある被写体にも挑戦の幅を広げていきます。
最初は焦らず、ゆっくりピント合わせに取り組める被写体で練習を行い、マニュアルフォーカスの操作に慣れましょう。
単焦点レンズで挑戦してみる
マニュアルフォーカスの練習は単焦点レンズで始めるのがオススメです。
単焦点レンズにはピントリングしか付いていません。そのため撮影に必要な操作は非常にシンプルです。カメラの操作に不慣れなうちは、ズームリングとピントリング、同時に二つをコントロールすることに戸惑うかもしれません。
ピントリングの操作に慣れるという目的があるときは、まず単焦点レンズで練習し始めると良いでしょう。
#4 まとめ
マニュアルフォーカスは、ファインダーを覗きながら左手でピントリングを回し、右手でシャッターを切るというシンプルな操作です。まずはその操作やタイミングを体で覚えることに注力してください。マニュアルフォーカスの操作に慣れてきたら、動きの速い被写体にもチャレンジできます。繰り返し練習することで、マニュアルフォーカスの精度やスピードは確実に上がってくるので、焦らずじっくり練習することが大切です。今回ご紹介した方法で、マニュアルフォーカスの練習に取り組んでみてください。
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