視度調整のやり方は? ピント合わせに失敗しないための設定方法

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2019年5月16日

最近のカメラのオートフォーカス(以下AF)は非常によくできていて、AFに設定しておけばアマチュアカメラマンは普通の撮影ではあまりピントの心配はしなくても済むようになりました。一眼レフを買った初心者の中には「ええっ?視度調整って何?」と聞き返す人も多くいます。また、ピントのズレを手振れだと思っている人もいます。一眼レフを買って、最初にするのが視度調整ですが、簡単な視度調整をせずにピントが甘い写真や手振れのような写真を撮り続けている人もいます。そこで、基本中の基本である視度調整のやり方を簡単に解説します。すでにご存知の方はご自分の知識の再確認のため、または知り合いの初心者へそのままでアドバイスとしてこの記事をご紹介していただければ幸いです。

#1 ファインダー視度調整の仕組み

視度調整とは?

一眼レフの視度調整の原理はメガネと同じです。近視や遠視の人は度の合ったメガネを使います。カメラのピントはピッタリでも、ファインダーを覗く人が近視や遠視だとぼやけて見えるため、カメラのピントがあっているかどうか分かりません。AFにおまかせでもピントの合った写真は撮れることも多いですが、ブツ撮りやマクロ撮影の場合のように、マニュアルでピントをあわせたり、意図的に前ピン(ピントが主題より前に合っている)や後ピン(ピントが背景に合っている)で撮りたい場合に、非常に大切になります。

 

一眼レフカメラのファインダーはその時のために、必ずといっていいほど写真①のような調整ダイヤルが付いていて、遠視や近視の人がかける眼鏡レンズの役目を果たします。これは双眼鏡などに使われている視度調整と同じ原理です。

 

写真① 視度調整用ツマミ

視度調整を怠るとどうなるか

今まで視度調整していなかったが特に問題はなかった。本当に必要なのかなどと思っている方も多いでしょう。写真②を見てください。ピントが主題に合わず、背景に合っています。これはAFでの撮影で初心者がよく経験する失敗です。シャッターボタンを半押しして主題にピントを合わせてから、半押しのままカメラを右にずらしてシャッターを切れば写真③のように主題にピントがあうはずです。ところが、それなのにピンボケの写真が出来上がるのは、視度調整がされていないファインダーをのぞいた時に全体がぼやけていて、どこにピントが合っているか見えないためかもしれません。これは次項で説明する簡単の視度調整で防ぐことができるのです。

 

写真② 後ピン

写真③ 前ピン

#2 自分の視力に合わせた設定方法

図①  視度調整のファインダー内

 

どのカメラメーカの視度調整もほぼ同じく簡単です。ファインダーを覗きながら、図①のようなフレーム(枠線)がはっきりと見えるように、ダイヤルを動かします。遠視ではプラス(+)方向に、近眼ではマイナス(-)方向にダイヤルを回して視度を調整するだけです。この時に明るいものを背景にしてファインダーを見ると枠線が明確に見えます。ニコンでは枠線だけが見えますが、キャノンは枠線のほかに数字などもファインダー内に見えます。視度調整はこれがハッキリ見えるようにダイヤルを回すだけです。一度調整したら視力が落ちない限り調整する必要はありませんが、何かのはずみでダイヤルが動いたり、人が使ってダイヤルをいじったりすることもありますので、定期的に調整するのをお勧めします。

 

ファインダーを覗いて見える枠線(ニコンではAFエリアフレームと呼んでいる)がハッキリと見えるように調節つまみを回すだけ。


ダイヤルを調整してもはっきりと枠線が見えない場合は視力が極端に悪い場合ですが、ファインダーが汚れている場合もあります。カメラのレンズは頻繫に拭いたりしても、ファインダーを拭くことをほとんどしない人が多いでしょう。よく見ると指紋や油で汚れているかもしれません。これもちゃんと定期的に拭いておきましょう。

#3 視度調整レンズ買う必要について

視度調整レンズ

カメラについている視度調整幅はメーカによって違いますが、ほぼー3~+1dpt(ディオプター)となっています。つまり近眼や遠視進んでいる人は調整できない可能性があります。そのため、各メーカは接眼補助レンズをオプションで用意しています。それをファインダーに直接取り付ければ、ド遠視やド近眼の人も視度調整ができます。例えばニコンの接眼補助レンズDK-20Cはー5~+3の間の度数が9種類揃っていて、1つの実売価格は600円程度と手ごろです。キャノンもほぼ同様な値段です。自分の視力にあうのをよく確かめてから購入することをお勧めします。

 

さて、取り付けはとても簡単です。ニコンの場合はゴム製の接眼目当て(写真④の左側)を上に抜いて、視度調整レンズ(写真④の右側)を差し込むだけです。なお、接眼目当ては視度調整レンズを使用する場合は使用しません。

 

写真④ ニコン製の視度調整レンズ(右)と接眼目当て(左)

メガネを掛けて撮影

メガネを掛けたまま撮影できれば、わざわざ視度調整レンズを買わなくても済みます。その場合何が問題でしょうか。まず、メガネを掛けたままだとファインダーの視野が狭くなり、画面の隅々や、ファインダーの下の表示情報などを一度に全部が見えない可能性があります。次に、ファインダーと目の間の隙間があるため作画に集中できない上に、カメラが安定しません。また、ファインダーの枠でメガネレンズを汚したり傷つけたりします。

 

しかし、最近の一眼レフのファインダーはほとんどがハイアイポイント(ファインダーと瞳との距離が長くなっていてロングアイポイントともいう)で、メガネを掛けたままでもファインダーのケラレがほとんどありません。よって、撮影のたびにメガネを外すのが煩わしいのでメガネを掛けたまま撮影する人が多いのも事実です。しかし、いずれの場合でも視度調整は必要ですので、忘れずにやりましょう。
 

#4 補足(手振れとピンボケの見分け方と防止策)

前述のように視度調整でピンボケはかなり防止できましたが、実は手振れなのに視度調整や視力の問題だと勘違いしている方もいるかもしれません。そのため、ピンぼけと手振れの見分けかたや防止策をここで説明しておきます。手振れといっても自分の手が振れているものと、被写体が動いている場合がありますが、ここでは自分のカメラが動いて手振れとなった場合を取り上げます。

 

写真⑤はピンボケです。よく見ると上下左右の区別なしに、全体がぼけています。これはフォーカスが合っていないピンボケです。

 

写真⑤ ピンボケ写真

 

写真⑥ 手振れ写真

 

一方、写真⑥は手振れです。よく見ると上下にはぼけていますが、左右にはあまり大きなボケはありません。これは上下方向の手振れです。いずれの写真も少し誇張していますが、見分け方はお分かりになったと思います。

 

この手振れの原因は色々あります。それを防ぐには、先ずシャッタースピード(SS)を適切に設定し(例えばレンズが焦点距離50mmなら1/50より早いSSにするなど)、次に脇をしっかり締めて左手でレンズの下を支えるのが基本ですが、シャッターを押すときに力を込めると写真⑥のような上下方向のブレが起きます。シャッターは半押しして(ピントを合わせてから)ゆっくり全押することで手振れはかなり収まります。撮影した後にチェックしても3インチ程度のLCDではピンボケや手振れはハッキリとは見えないのでこれも注意が必要です。

#5 まとめ

デジタルカメラの技術の進化と共に、今や一眼レフに限らずコンパクトデジカメでも2千万画素を起える画素数のカメラが多く出ています。AFや手振れ防止機能も進化しているとは言え、今まではピンボケも目立たなかったのに、今では問題となってきたとも言えます。少しの注意と工夫でそれが防げるとすれば、それは基本と言えるのではないでしょうか。視度調整はその第一歩です。

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